ドクターと恋を始めました。【完】
((ガラッ))と病室のドアを開けて琴音のいる個室に入った。
「…いねーじゃねーか!」
体調が悪いと聞いてたのに何故か琴音は病室のベッドにいなかった。
「ったくー、あいつどこ行った。」
近くの机にあるのは高校の教科書。
そういえば、琴音は高3の受験生か…。
数学の教科書をひらいてみた。
「…って、微積かよ。俺ここ嫌いだったなー。」
俺、よく向こうの医学部合格したな。
それも外国の…。
机の上には何冊かの教科書と何故か楽譜が1冊あった。
((ガラッ))と音がした。
振り返ると、『やばい』的な顔をした琴音がいた。
「おかえり、琴音。
…体調悪いって怜於から聞いたんだけど?」
「…へ?……だ、大丈夫です。」
大抵の奴の『大丈夫』は『無理してる』という意味に当てはまる。
医者を舐めんなよ?
「その体調でどこをほっつき歩いてた?」
「え、っと…、どこだろう〜?」