猫足バスタブに愛を
第2章
連れていかれ、たどり着いた場所はどこかのマンションだった。
何故こんなところに連れて来るのだろうか。
監禁?
いや、でもここはどうみてもそんなセキュリティーが高いところでもないし、ましてやそこら辺の学生が一人暮らし出来るようなマンションで。
手を引かれ、エレベーターに入った。
ボタンを押した階は三階。
その間、彼とずっと手を握っていたままだった。
こんな密室、殺しでもなんでも出来るのに、彼は何もしないまま。
ただ前だけを見ていた。
本当に何がしたいんだろう、この人は。
殺したいならさっさと殺せばいいのに。
そもそもなんであの場所にいたんだ?
あそこは一応私の家の敷地内であって。
ああそうか。
やっぱりあの覆面男達の仲間だったのか。
なら何故私を生かしておく?
この男はあの覆面男達の仲間じゃないのか?
もしそうなら何故私を助けた。
炎上した家の中に放り込むことだって出来たはずだ。
そもそもこの男は何なのだ、誰なのだ。
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