猫足バスタブに愛を




「とりあえず入って」





そう言われて部屋の中へと誘導される。


さっきちらっと見えた。ここは304号室らしい。




三階の一番隅の部屋。




この部屋が彼の部屋なのか、きっと。








恐る恐る中に入ると、彼は後ろ手で電気を付ける。





軽く見渡すと、玄関の先に扉が三つほどあることが分かった。








私が中に入っても、彼は何も変化を見せない。


殺気すら感じない。





私をここに連れて来て何をするのだろうか。


この男は一体何がしたいのだろうか。






私がそんなことを考えながらぽつんと玄関に立っていると、彼は何も言わず、玄関から一番近い部屋に入っていった。







……私はどうしろと?





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