俺の青い春
美花の家でなにがあったかは聞かなかった。
ただ家族を大切にしていて、母の日と父の日には決まって花を送るようなヤツだったから。
そんな家族がバラバラになるということは美花にとって、とても耐え難いことだってことは理解したつもりでいる。
最初は軽く、ただ包むように抱きしめた。
だけど美花は嫌がらず、ぎゅっと背中に手を添えてきたから、そこからは流れで。
たぶん美花も弱ってたし、俺もそんな美花を見ていられなかった。
キスをして、気づけばベッドの上で互いの体温を確かめ合っていた。
初めてじゃないのに、俺はひどく緊張して。
ひんやりと冷たい美花の体が壊れないように触れた記憶しか残っていない。
そして、朝がきて現実に戻り。
俺たちは今までどおりの友達ではいられなくなった。
夏休み明けの学校。
目が合えば美花は申し訳なさそうに微笑むだけ。同じグループで遊ぶときも絶対に俺の隣には来なかった。
あの日のことを誰にも言わない代わりに、
あの日のことをなかったことにはできなかった。
そして距離は遠いまま、ついに卒業の日を迎えてしまった。