俺の青い春
俺はお前が思うほど優しさヤツじゃない。
心の中でもっと弱くなればいいのにって。
大学受験に失敗して、ずっとここに残ればいいのにって、そんなガキみたいなことばかり考えてた。
優しくねーよ。
優しさであの日、美花を抱きしめたわけじゃない。
「美花、頑張れよ。ずっと応援してるからな」
だけど、喉まで出かかった言葉を俺は飲みこんだ。
これでいい。
寂しがりやの美花が新しい土地に行って、新しい場所で生活することを自分で決めた。
あの夜のように崩れてしまわないように、強くなろうと前に進もうとしてる。
「うん、匠も」
美花は背筋を伸ばして笑顔で去っていった。
またひとりになった屋上。
卒業式では出なかった涙があふれた。
ごめん。俺はお前のことが好きだった。
優しさなんかじゃない。
すげーどうしようもなく、好きだっただけだ。
カッコわるく男泣きをしたあと、俺もようやく立ち上がった。
「よし、頑張るか」
心は軽い。
この綺麗すぎる青空みたいに。
アイツに負けないように、いつかこの気持ちを笑いながら話せるように、俺も少しずつ大人になろう。
――【俺の青い春 END】