ミステリアスなユージーン
第五項目
ユージーンは嘘つき
∴☆∴☆∴☆∴
翌日、朝。
事件は程なくして起きた。
「先輩、やるじゃん!」
「だろ?」
雅野工房に赴いた私は、工房のオーナーであり大学時代の先輩でもある雅野さんを、感嘆の声と共に見上げた。
市外ののどかな田園風景の中にある雅野工房は、周りの穏やかさとは真逆で、ひっきりなしに運送業者が出入りしている。
「相変わらず先輩の造る家具は大人気ですね」
「まあな!天才は周りがほっといてくれなくてよ」
「連休何処も行かないんですか?」
「お前のせいで行けねーんだよっ!」
「はははは!あ、引き出しの件、お心遣い感謝します!」
呉服桜寿の反物タンスを雅野工房に依頼した私に、先輩から連絡が入ったのは昨日だった。
先輩は強化ガラスを材質にした反物タンスを造るにあたり、ケース内に湿気が溜まるのを心配してわざわざ防止剤を入れるための浅い引き出しを作ってくれたのだ。
「先輩、ありがと。実は私、強化ガラスの反物タンスは初めてでさ、湿気の事まで考えてなかったんだ」
私がそう言うと、先輩は軽く頷いた。
翌日、朝。
事件は程なくして起きた。
「先輩、やるじゃん!」
「だろ?」
雅野工房に赴いた私は、工房のオーナーであり大学時代の先輩でもある雅野さんを、感嘆の声と共に見上げた。
市外ののどかな田園風景の中にある雅野工房は、周りの穏やかさとは真逆で、ひっきりなしに運送業者が出入りしている。
「相変わらず先輩の造る家具は大人気ですね」
「まあな!天才は周りがほっといてくれなくてよ」
「連休何処も行かないんですか?」
「お前のせいで行けねーんだよっ!」
「はははは!あ、引き出しの件、お心遣い感謝します!」
呉服桜寿の反物タンスを雅野工房に依頼した私に、先輩から連絡が入ったのは昨日だった。
先輩は強化ガラスを材質にした反物タンスを造るにあたり、ケース内に湿気が溜まるのを心配してわざわざ防止剤を入れるための浅い引き出しを作ってくれたのだ。
「先輩、ありがと。実は私、強化ガラスの反物タンスは初めてでさ、湿気の事まで考えてなかったんだ」
私がそう言うと、先輩は軽く頷いた。