ミステリアスなユージーン
「本当に素晴らしいです。安っぽくならないか不安だった強化ガラスの着物タンスが、こんなに素晴らしいなんて思いもしませんでした。真鍮製の縁がなかなか渋いです。きっと色とりどりの反物を入れたり、浴衣をディスプレイすると宝石箱のように美しいでしょうね。奥の間の総桐箪笥も実に立派で、部屋全体のデザインはそれにひけを取らず良いバランスを保っています」
佐渡君の言葉に凄くドキドキした。
いつも私に対して不機嫌で辛辣な佐渡君が、こんな風に誉めてくれるなんて……。
ああ、大女将はこの部屋を見てどう思うだろう。
入院を余儀なくされている大女将は作業の進捗状況や家具、小物などをまだ写真でしか見ていない。
それに私は……まだ一度も入院した彼女と会っていなかった。
私に出来ることを、彼女のために精一杯したかったから。
今完成し、やっと彼女にこの空間を贈ることが出来る。
「大女将に……報告にいかないとね」
何だか泣きそうになってしまった。
それを悟られないようにわざと明るくこう言うと、佐渡君が私に手を伸ばした。
「大女将はきっとまたあなたを誉めるでしょうね」
私は無意識に首を横に振ると、佐渡君を見ずに答えた。
「誉めてもらえなくてもいいの。それよりも、大女将がこの空間で幸せでいてくれたらそれでいい」
佐渡君の言葉に凄くドキドキした。
いつも私に対して不機嫌で辛辣な佐渡君が、こんな風に誉めてくれるなんて……。
ああ、大女将はこの部屋を見てどう思うだろう。
入院を余儀なくされている大女将は作業の進捗状況や家具、小物などをまだ写真でしか見ていない。
それに私は……まだ一度も入院した彼女と会っていなかった。
私に出来ることを、彼女のために精一杯したかったから。
今完成し、やっと彼女にこの空間を贈ることが出来る。
「大女将に……報告にいかないとね」
何だか泣きそうになってしまった。
それを悟られないようにわざと明るくこう言うと、佐渡君が私に手を伸ばした。
「大女将はきっとまたあなたを誉めるでしょうね」
私は無意識に首を横に振ると、佐渡君を見ずに答えた。
「誉めてもらえなくてもいいの。それよりも、大女将がこの空間で幸せでいてくれたらそれでいい」