ミステリアスなユージーン
∴☆∴☆∴☆∴
気になっていたカフェ。
インスタ映えするランチは心が踊るような色合いだ。
じっくり煮込まれたコンソメスープ、トマトパスタに水菜のサラダ。その上にはオレンジに近い濃い黄身が印象的なポーチドエッグがトッピングされていて。
本場である関西のとある町から直送されているアーモンドバターは、甘すぎなくてとても香ばしく、パンに塗ってトーストすると本当に絶品らしい。
リサーチしたところによると、噛むと同時にジュワッと口に広がる旨味は、思わず笑みがこぼれるレベルだとか。
そのアーモンドバタートーストを近いうちに食べたいと思っていた。
それが……それが、こんな形で叶うなんて。
私は真正面に座る人物を見つめて両手を膝で握りしめた。
「全く、なんなのよ」
ムッとして睨む私を一瞥したあと、佐渡君はツンと横を向いた。
「あれが瀬戸カナデ先生ですか」
「そうだけど」
「他の女性客には握手だけだったのに、どうしてあなたにはハグしたんですか?」
「私が先生を凄く好きで、何度もサイン会に行ってるからよ」
「……」
脚を組んで横を向いたその顔が、本当にモデルみたいだ。
気になっていたカフェ。
インスタ映えするランチは心が踊るような色合いだ。
じっくり煮込まれたコンソメスープ、トマトパスタに水菜のサラダ。その上にはオレンジに近い濃い黄身が印象的なポーチドエッグがトッピングされていて。
本場である関西のとある町から直送されているアーモンドバターは、甘すぎなくてとても香ばしく、パンに塗ってトーストすると本当に絶品らしい。
リサーチしたところによると、噛むと同時にジュワッと口に広がる旨味は、思わず笑みがこぼれるレベルだとか。
そのアーモンドバタートーストを近いうちに食べたいと思っていた。
それが……それが、こんな形で叶うなんて。
私は真正面に座る人物を見つめて両手を膝で握りしめた。
「全く、なんなのよ」
ムッとして睨む私を一瞥したあと、佐渡君はツンと横を向いた。
「あれが瀬戸カナデ先生ですか」
「そうだけど」
「他の女性客には握手だけだったのに、どうしてあなたにはハグしたんですか?」
「私が先生を凄く好きで、何度もサイン会に行ってるからよ」
「……」
脚を組んで横を向いたその顔が、本当にモデルみたいだ。