ミステリアスなユージーン
第七項目
ユージーンはミステリアス
∴☆∴☆∴☆∴
所々の記憶は曖昧だけど、佐渡君にタクシーに乗せられて家まで連れて帰ってもらったのはしっかりと覚えていた。
ゆっくりと眼を開けると、辺りは既に薄暗かった。
「……大丈夫ですか?」
私のベッドの脇に座り、こちらを見つめる黒い瞳にドキンと鼓動が跳ねる。
「……ごめんね、佐渡君……」
佐渡君が首を横に振って優しい声で言った。
「きっと疲れが溜まっていたんですよ。ベッドに入る前に飲んだ頭痛薬が効いたみたいで熱は下がりました。……菜月さんが眠っている間にコンビニで食べるものを買ってきましたが、飲み物を買い忘れて……冷蔵庫になにかありますか?」
コクンと頷いた私を見て、佐渡君はゆっくりと立ち上がるとキッチンへと向かった。
……あ。
「わっ!」
思わず私は小さく叫んだ。
ダメ、ダメよ。冷蔵庫には私のプライベートな写真やスケジュール、それになにより《ユージーンスペース》が……。
自分の口で告げる前に、あれを見られる訳にはいかない。
ああ、彼がユージーンスペースに気付きませんように!
所々の記憶は曖昧だけど、佐渡君にタクシーに乗せられて家まで連れて帰ってもらったのはしっかりと覚えていた。
ゆっくりと眼を開けると、辺りは既に薄暗かった。
「……大丈夫ですか?」
私のベッドの脇に座り、こちらを見つめる黒い瞳にドキンと鼓動が跳ねる。
「……ごめんね、佐渡君……」
佐渡君が首を横に振って優しい声で言った。
「きっと疲れが溜まっていたんですよ。ベッドに入る前に飲んだ頭痛薬が効いたみたいで熱は下がりました。……菜月さんが眠っている間にコンビニで食べるものを買ってきましたが、飲み物を買い忘れて……冷蔵庫になにかありますか?」
コクンと頷いた私を見て、佐渡君はゆっくりと立ち上がるとキッチンへと向かった。
……あ。
「わっ!」
思わず私は小さく叫んだ。
ダメ、ダメよ。冷蔵庫には私のプライベートな写真やスケジュール、それになにより《ユージーンスペース》が……。
自分の口で告げる前に、あれを見られる訳にはいかない。
ああ、彼がユージーンスペースに気付きませんように!