ミステリアスなユージーン
「確かに現実世界にも佐渡君みたいに、ビジュアルだけ!がいい男なんていっぱいいるんだけどさ、」

ピ、と佐渡君が動きを止めた。

私はそれに気付かぬフリをしたまま続ける。

「ビジュアルだけじゃなくて性格も堪らなく素敵だから瀬戸カナデ先生の描く男性は尊いのよ。あ、そうだ私の趣味よりさ、佐渡君の趣味ってなに?別に興味ないけど教えて」

ホントはすごい興味あるけど。

それになんか突っ込める要素があったら後で沙織との酒の肴にしてやりたいしね。

私が言い終えて佐渡君に身体ごと向き直ると、彼はまだ僅かに不満そうな顔で箸を動かしていた。

「なんですかそれ。興味ないなら聞かなきゃいいじゃないですか。それに、俺の性格も知らないのに『佐渡君みたいにビジュアルだけ!』って失礼だと思いますけど」

フッ、わりと子供ね。そんなところでむくれるなんて。

私は内心ニヤリとしながら口を開いた。

「ビジュアルが良いって褒めてるんだよ。それから佐渡君だって私の趣味に興味ないけど知っちゃったじゃん。だからおあいこ!」

私がニッコリと笑うと佐渡君は少し驚いたような顔をして、一瞬だけ咀嚼を止めた。

「趣味なに?アメフト?それともバスケット?佐渡君背が高いし体格いいしスポーツ系かなと思って」
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