ミステリアスなユージーン
∴☆∴☆∴☆∴
二時間後。
「課長、カラオケの予約も取ってますよ!行きますよっ!」
安藤君の従兄のお店で散々楽しんだ私達は、温かいもてなしと美味しいお料理に大満足して店を後にした。
そこですかさず二次会担当の安積君が課長に声をかけ、それに焦ったように課長が両手の平を彼に向けて苦笑した。
「いや、俺はいいよ。小遣いやるからお前らで行ってこい」
「えーっ、課長の歌声聞きたいのにーっ!」
安積チームの皆がニヤニヤしながら声高にこう言うと、新庄課長は彼らを甘く睨んだ。
「お前らーっ、俺の歌を聴いて笑うつもりだろうっ!」
「あれ、バレました?!あはははは!」
「バカ!忘年会の時は、声が枯れてただけで俺は音痴じゃない!」
「じゃあ今日、証明してくださいよ!」
店を出た皆が大笑いする中、私も課長を見て微笑んだ。
……課長のこういうところが好き。
仕事に対する姿勢も、そこから離れた時に見せる無邪気なところも。
広い車道に面した歩道は人通りも多く、いつまでもこうして立ち話はしていられない。
私は大きく口を開けて笑う課長の横顔を見つめたまま思った。
……身体を重ねても……課長は私のものじゃない。
なんだか、ママゴトみたいだな。
いつまで私達はこんな関係なんだろう。
一年?……半年?……分からないなあ。
その時だった。
分からないそれが、突然やってきたのだった。
「和哉さん!」
良く通る澄んだ声が、私達全員の耳に響いた。
二時間後。
「課長、カラオケの予約も取ってますよ!行きますよっ!」
安藤君の従兄のお店で散々楽しんだ私達は、温かいもてなしと美味しいお料理に大満足して店を後にした。
そこですかさず二次会担当の安積君が課長に声をかけ、それに焦ったように課長が両手の平を彼に向けて苦笑した。
「いや、俺はいいよ。小遣いやるからお前らで行ってこい」
「えーっ、課長の歌声聞きたいのにーっ!」
安積チームの皆がニヤニヤしながら声高にこう言うと、新庄課長は彼らを甘く睨んだ。
「お前らーっ、俺の歌を聴いて笑うつもりだろうっ!」
「あれ、バレました?!あはははは!」
「バカ!忘年会の時は、声が枯れてただけで俺は音痴じゃない!」
「じゃあ今日、証明してくださいよ!」
店を出た皆が大笑いする中、私も課長を見て微笑んだ。
……課長のこういうところが好き。
仕事に対する姿勢も、そこから離れた時に見せる無邪気なところも。
広い車道に面した歩道は人通りも多く、いつまでもこうして立ち話はしていられない。
私は大きく口を開けて笑う課長の横顔を見つめたまま思った。
……身体を重ねても……課長は私のものじゃない。
なんだか、ママゴトみたいだな。
いつまで私達はこんな関係なんだろう。
一年?……半年?……分からないなあ。
その時だった。
分からないそれが、突然やってきたのだった。
「和哉さん!」
良く通る澄んだ声が、私達全員の耳に響いた。