ミステリアスなユージーン
∴☆∴☆∴☆∴
数日後。
「佐渡君、グラフィック確認して。すこしでも画と違うと思ったら教えて。それとオーナー様との待ち合わせ時間もうすぐだからね」
今日は子供服のお店『Seven colors』の引き渡し日だ。
「……ちょっと待ってください。あそこ、人形の靴が脱げそうになってますけど」
「え?うわ、ほんとだ」
天井からワイヤーで吊り下げている人形の靴が片方脱げそうになっていて、踵が見えている。
「マジックテープがしっかり止まってなかったみたいだね。仙道くん、脚立……」
「もういませんよ。道具も全て車に積みました。午後から別行動ですから」
「あ、そうだったね。ちょっと、椅子ない?」
「あそこの椅子はもう固定済みです」
「じゃあパイプ椅子とか」
「ありません。施工業者も帰りました」
「えー……」
どうしたものかと一瞬眉を寄せたけど、私は直ぐに佐渡君を上から下まで眺め回した。
……佐渡君ならいけそうじゃん。長身じゃん。
「ねえ佐渡君、届かない?やってみて」
佐渡君はタブレットを置くと、私を見て首を振った。
「ワイヤーの長さと人形の背丈、部屋の高さを確認すると、靴までは230センチはあります。俺が手を伸ばして指先がギリです。靴を掴んで履かせるのは無理ですね」
「……」
数日後。
「佐渡君、グラフィック確認して。すこしでも画と違うと思ったら教えて。それとオーナー様との待ち合わせ時間もうすぐだからね」
今日は子供服のお店『Seven colors』の引き渡し日だ。
「……ちょっと待ってください。あそこ、人形の靴が脱げそうになってますけど」
「え?うわ、ほんとだ」
天井からワイヤーで吊り下げている人形の靴が片方脱げそうになっていて、踵が見えている。
「マジックテープがしっかり止まってなかったみたいだね。仙道くん、脚立……」
「もういませんよ。道具も全て車に積みました。午後から別行動ですから」
「あ、そうだったね。ちょっと、椅子ない?」
「あそこの椅子はもう固定済みです」
「じゃあパイプ椅子とか」
「ありません。施工業者も帰りました」
「えー……」
どうしたものかと一瞬眉を寄せたけど、私は直ぐに佐渡君を上から下まで眺め回した。
……佐渡君ならいけそうじゃん。長身じゃん。
「ねえ佐渡君、届かない?やってみて」
佐渡君はタブレットを置くと、私を見て首を振った。
「ワイヤーの長さと人形の背丈、部屋の高さを確認すると、靴までは230センチはあります。俺が手を伸ばして指先がギリです。靴を掴んで履かせるのは無理ですね」
「……」