ミステリアスなユージーン
「よく言うよ!あのクリスマスのディスプレイはちょっとしたレベルじゃなかったし!飾り付けしたもみの木二本にワイヤー貫通させてそこに電飾巻き付けてプレゼント吊るすのに、どう考えても足場一日は短すぎて無謀だった!それを菜月さん足場バラシの後、脚立に歩み板かけて作業するもんだから危なすぎて俺、気が気じゃなくて」

「だって、もみの木の搬入が遅れて引き渡しがヤバかったんだもの。足場一日延ばすといくらかかると思ってんのよ。それに比べりゃ脚立に歩み板はただ同然」

少し気まずくて早口で仙道君に言い訳すると、私は佐渡君に再び続けた。

「てことで本日からよろしく。あ、日報はあのpcで入力してね」

「分かりました」

ミーティングルームの椅子から立ち上がった私は徳永君に眼をやった。

「徳永君、今日中に新企画の書類作れる?無理なら携帯に電話ちょうだい。先方の大まかな希望知っときたい」

「分かった。俺か葉山がかける」
 
「了解」

「じゃ、解散。仙道君行くわよ」

「はーい」

私は今度こそバッグを肩にかけると、仙道君にファイルを返してドアへと足を向けた。
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