ライトブルーの香りは今でも
あの後は何事も無くテスト返しをしてもらい、
LTの後は各自部活動へ。
私は体育館へは行かず校舎の周りで
ランニングしている運動部を見付けて
写真に収める事にした。
春は心地のいい風が吹く。
さわさわと桜の木を揺らす位の風。
だけど運動部達の子は汗だく。
冬とは違って運動すればそれなりの汗は出る。
私は休憩中に浴びるように水を飲む子達を
カメラに捉えた。
「夏実…だよね?」
夏実「…?」
聞き覚えのない声なのに私の名前を
的確に当ててきた誰か。
二日連続で変な人に絡まれてしまうのかと
思いつつゆっくりとその人物を確認する。
そこには三年生でも二年生でも
見たことの無い、男子生徒が居た。
春輝「覚えてない?俺だよ、ハルキ!」
私は自分の脳細胞をフル回転させた。
名前を聞いてもパッと思い浮かばなかったからである。
暫く考えても『ハルキ』に当たる人物は
出てこなかった。
ハルキ…、って誰?