ライトブルーの香りは今でも







相手が覚えているのに
自分が覚えていない場面は初めての事で
少し動揺する。




人の名前と顔は忘れない様にしてきたが
どうも思い出せない。






何を考えているのか悟ったハルキという人が
笑顔で言った。






春輝「小学校以来だもんな、覚えてないか…」



夏実「小学校…?」






新たな情報に私はまた
脳細胞をフル回転させた。






小学校、ハルキ、…


何度繰り返し唱えても解らなかった。







表情に思い出せないと出ていたのか
ハルキくんはクックックと笑った。






春輝「小学校四年生の時に転校した如月春輝、思い出せないかな?一個下で隣の家だった」




夏実「…あ、如月くんか」




春輝「相変わらず、年上なのに硬いね」







またクックックと笑う如月くん。


小学校の時、家が隣だからと言って
一緒に登下校していた子だと思い出す。






余り鮮明には覚えてないけどただ、
私が何かを言われた時は必ず庇ってくれてたのが如月くんだったな…。





少し思い出に浸っていると急にぽんぽんと頭を撫でられ反射的にその手を弾いてしまう私。







春輝「嗚呼、こういう所も変わらないんだね」






安心したのかさっきの笑い方とは違って
ふわっと目を細めて微笑んだ如月くん。




笑顔を見た瞬間、懐かしいなと思ったのは
言わないでおこう。





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