キミは甘のじゃく

その後もアルバムを囲んでワイワイと話しに花を咲かせていると、騒ぎを聞きつけたのかおじいさんがリビングへとやってきた。

「あら、お父さん。さくらちゃんが来てますよ」

「お邪魔しています」

「ああ。いらっしゃい」

軽く会釈をすると、おじいさんはにこやかな笑みを浮かべた。

しかし、その直後古賀くんの姿がないとみると今度は険しい表情で尋ねた

「眞琴はどうした?」

「今日は私だけなんです」

「まったく……けしからん奴だな!!」

血圧が急上昇してしまいそうな憤慨の仕方である。

「次は一緒に来ますね」

「ああ。いい、いい。眞琴は来なくても。あいつがいると、うるさくてかなわないからな」

おじいさんはそう言うと、すぐ自室に引っ込んでいった。

「あの……。こがく――眞琴くんとおじいさんって……」

おじいさんの様子から察するにあまり仲が良くない……?

「大学生の時だったかしら?就職のことでお父さんと大喧嘩してね……」

古賀くんも言っていた古賀電機の後継ぎについての大喧嘩のことだろう。

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