キミは甘のじゃく

ほんの数ヵ月の付き合いしかない私にだってわかるのに……。

どうして祖父であるあなたには、古賀くんが本気で心配していることが伝わらないんですか?

「書斎の電気はいつも夜遅くまでついたままです。よく難しそうな顔で書類と睨めっこしています」

古賀くんが古賀電機のために精力的に働いているのは明らかだし、御曹司という肩書きもさることながら、実力や人柄だって申し分ない。

現に木橋さんをはじめとする部下にも大いに慕われているようである。

それなのに、いつまでも取ってつけたような理由で古賀くんを認めようとしないなんて、あまのじゃく同士の闘いはあまりに不毛すぎる。

巻き込まれた本人の私が言うんだから間違いない。

「あんなに努力している彼のことを認めないなんて……おじいさんの方がよっぽど人を見る目がないんじゃないですか!?」

これでは……古賀くんがあまりにも可哀想だ。

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