キミは甘のじゃく
16.同窓会
「同窓会?」
『そう!!私、幹事をやることになっちゃってさ~』
タハハと困ったように笑う電話の相手は、私の中学生時代の友人である“しいちゃん”である。
しいちゃん――“新山静香”はバスケットボール部の主将をしていたこともあり、面倒見もよく、古賀くんから標的にされた私をかばってくれた良き友人であった。
『さくらも来るよね?』
しいちゃんに誘われたら、行かない訳にはいかない。
古賀くんにいじめられていたことを除けば、中学時代の思い出はそう悪くないものだったし、久方ぶりに旧交を温めたい人だって何人かはいる。
「行きたいけど……。うん……ちょっと考えてみるね」
私はあえて返事を保留にすると、電話を切った。
……即答できないのには、それなりに理由がある。
リビングを出て廊下を歩き、書斎の扉をノックする。
「ねえ、古賀くん」
「……どうした?」
扉の向こう側から返事があり入室の許可を得た私は、即答できない理由である張本人に、同窓会の件を直接尋ねてみることにした。