キミは甘のじゃく
**********
迎えた同窓会当日。
私はしいちゃんと駅前にある時計台の下で待ち合わせをしていた。
「さくら!!」
「しいちゃん!!」
「久し振り!!会いたかったよ!!」
キャッキャとお互いに手を取り合って再会の喜びを分かち合う。
しいちゃんと会うのは実に3年振りだった。
臨床検査技師であるしいちゃんは就職を機に地元を離れ、地方の病院に勤務しているので会えるのは年に数回、盆か正月。それもたまたま休日に恵まれた時だけなのである。
しいちゃんはブランクなど一切を感じさせず、目ざとく左手の薬指にしていた指輪の存在に気付いた。
「って、指輪!?あんた、いつの間に結婚したの!?」
「それが色々あってね……」
どこをどう話したらいいのか、私にも見当がつかない。
色々の部分が具体的に何なのか知りたがっていたけれど、私の表情に哀愁が漂っていることに気がついたのか、やんわりと察してくれた。
「あんたも何気に苦労してるのね……」
後日、詳細を聞かせるということを約束して、私達は同窓会の会場に向かったのだった。