キミは甘のじゃく
「古賀!!」
「……遅くなったな」
古賀くんが颯爽と登場すると会場にいた人間の視線が入口に集まった。
私はあえて古賀くんから目を背け、皿に持ったサーモンをひたすらつついてやり過ごした。
「久し振りだな。元気にしてたか?」
「まあな。そっちはどうだ?」
古賀くんの元には次々と人がやってきては声を掛けていく。
私は好奇心に勝てず、ついつい聞き耳をたててしまった。
「聞いてくれよ。こいつ昨日彼女が出来たばっかなんだぜ」
「そうか、良かったな」
「古賀は?まあ、古賀電機の御曹司なら女に困るってことはないだろうけど」
「他の女に興味ねえよ。俺、結婚してるし」
結婚というの単語が出ると、辺りがざわっと色めき立った。