キミは甘のじゃく
17.夫婦喧嘩は犬も食わない
同窓会の会場を離れ路上を歩いていると、涼しい秋風がお酒とキスで火照った身体を冷やしていった。
古賀くんと結婚したのは、まだ夏が訪れたばかりの頃だった。
私達が夫婦として過ごしたのは、まだたったの数ヵ月でしかない。
その数ヵ月で一体互いの何が分かるというのだろう。
「離して……」
「嫌だね」
「きっとしいちゃん達、困ってるわ……。戻らなきゃ……」
「他人なんかどうでもいいだろ」
「元はと言えば古賀くんがいけないんでしょう……?」
黙っておいて欲しいって言ったのに……あんな真似までして。
悔し紛れに唇を手の甲で拭う。
「何で古賀くんは自分の要求ばかり押し通そうとするの……?私の気持ちはどうでもいいの……?」
「お前が市村の話なんかするからだ!!」
激高した古賀くんに両肩を掴まれると、痛みと同時に恐怖を感じた。