キミは甘のじゃく

「今も昔もあんたは古賀に悩まされてばかりなのね」

頬杖をついて嘆息するしいちゃんに、私は力なく笑みを返した。

「古賀のことはともかく、さくらはどうなのよ?」

「え?」

「あいつのことが好きなの?」

「好きって……」

「じゃあ嫌い?」

「……嫌いよ」

しいちゃんはお手上げという感じて、肩を竦めると苦笑いした。

「それは昔の話でしょ?今の奴はどうなの?10年以上経ってるんだもん。古賀の大バカアホ野郎も多少は進歩しているんじゃないの?」

大バカアホ野郎って……。

世界広しと言えども、古賀くんのことを大バカアホ野郎呼ばわりするのはしいちゃんだけだろう。

「正直……よく分からないのよ……」

ひどいことばかり言う古賀くんは嫌い。

じゃあ、優しい古賀くんは?

一晩中団扇で煽いでくれたり、シュークリームを買ってきてくれたりした彼を決して嫌いにはなれない。

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