キミは甘のじゃく
古賀くんはズケズケと物を言うけれど、私だってその分彼には何でも言いたいことばかり言っていたように思える。
嫌われたくないという思いが先行して、無意味に遠慮することもなかった。
かつてお付き合いした男性と上手く行かなくなったのもこの辺が原因のひとつだろう。
……古賀くんのせいで、男性が苦手になった。しかし、その当事者には何でも遠慮なしに言える。
それは盛大な皮肉のようにも思えて……。
「あんまり深く考えすぎない方が良いんじゃない?」
しいちゃんは伝票ホルダーで私のおでこをコツンと叩くと、店員さんにお会計を頼んだ。
「古賀によろしく言っといて。あんまりいじめんなってね」
今から勤務地のある地方に戻るというしいちゃんは、結婚祝いの代わりにとコーヒーを奢ってくれたのだった。