キミは甘のじゃく
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「何かクルクルしてる……?」
古賀くんは朝ご飯の支度をしている私の髪を、一房取り上げると首を傾げた。
「あ、うん。美容師さんに進められてパーマをかけてみたの……」
「ふーん」
私は内心ドキドキしながら古賀くんに尋ねてみた。
「最近はこういう髪型が人気らしいんだけど、古賀くんはクルクルしているのと、していないのだったらどっちの方が好き……?」
「……どっちでもいい。たいして興味ねーからな」
……そうですかい。
古賀くんの好みが聞けるかもと期待していたのにがっかりしてしまった。
近頃の私は“離婚せずとも傍においてやるには構わない”程度の存在になるべく、せっせと自己改革を図っている。
髪型を変えたのもその一環なのだが、彼にはどうにも通じないらしい。
でも、既に結婚済みの旦那様に対するアプローチ方法なんてわかんないし……。
っというか今まで、まともに自分の方から誰かにアプローチするなんてやったことなかった。
こんな甘酸っぱい気持ち、他の人には一度もなったことがないもの……。