キミは甘のじゃく

鼻につくアルコールの匂いだけで、相応の酒量だと窺える。

前後不覚になるまで飲ませるって、学生じゃないんだから。

でも、それだけ嬉しかったってことだ。

(怒るに怒れないじゃない……)

連絡なしで酔っ払って帰ってきたこと、本当は怒るべきなのだろうがそんな気にはなれなかった。

「さくら……」

古賀くんはねだるようにちゅうっと首筋に吸いつくと、背中に手を回し私が着ていたワンピースのファスナーを下ろしにかかってきた。

どこでスイッチが入ってしまったのだろう。こうなった古賀くんは誰にも止められない。

「ま……待って!!先にシャワーを……」

「明日浴びる」

明日浴びるって言ってるけどそれじゃ遅いよ!!

「さくら」

「……っ……!!」

好きだと自覚してからは、こうやって名前を呼ばれるだけでたまらない気持ちになる。

名前を呼ばれながらチュッチュッと小鳥がついばむようなキスを唇に受ける。

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