キミは甘のじゃく
(どれを着て行ったらいいのかな……?)
2週間後に迫る就任祝いパーティーに向けて準備するべく、古賀くんに隠れてひっそりとフィッティングを始める。
ベッドの上に広げたドレスを身体にあてながらあーでもない、こーでもないと試行錯誤を繰り返す。
こっちのAラインドレスはふわっとしてて可愛いけど、ちょっと子供っぽい?
でも、ワインレッドのタイトドレスは胸倉が空きすぎていて、とても私には着こなせない。
(迷っちゃうよ!!)
古賀くんってば、一体何人分の洋服を見繕ってもらったのか。
ご丁寧なことにドレスだけではなく、アクセサリーやバッグまで用意されていて、すべてに目を通すだけでも大変な作業だった。
もちろん、ドレスはどれも素敵だけれど、私が着るにはとても恐れ多い代物である。
(……っていうか、これ全部新品なんですけど。)
いくら使ったのかはあえて考えないようにする。
人前にでるのは苦手だけれど、古賀くんの奥さんとして公の場で紹介してもらえるなんて嬉しいに決まっている。
なにより、彼に少しでも綺麗と思ってもらいたい。