キミは甘のじゃく
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「どうした?」
朝食を食べる手が止まったのを見て、古賀くんが声を掛けてくる。
「ううん。何でもない」
一時的に吐き気がおさまっても一向に食欲は湧かないし、どうにも身体が熱っぽい。
「体調が悪いなら、今日は会社を休んだらどうだ?」
「大丈夫……ちょっと疲れているだけよ」
病院に行くなら早い方がいいし、子供がいるかどうかだって気になるところ。
私は心配する古賀くんをなだめると、その日は彼より早く家を出ることにした。
出社すると直ぐ会社の事務担当に保険証の再発行について確認する。
再発行には身分証明となる住民票の写しが必要とのことだった。
こんなに手続きが面倒ならば、最初にきちんと対応しておけばよかった。
後回しにしていたことが今更ながら悔やまれる。
仕方なく午後は会社を早退して、その足で区役所へと向かった。
申請書に必要事項を記入し、整理券をとって順番を待っていると、平日の昼間だったためか、まもなく番号が呼ばれた。