キミは甘のじゃく
「……可愛い人ね」
よしよしと頭を撫でて、そのまま背中にぎゅうっと抱きつくと愛おしさが胸に広がっていく。
「自分でもよく分からなかったの……。どうして古賀くんに言われたことに必要以上に傷ついてしまったのか」
答えはいつだって単純だったのに、ひどく遠回りをしてしまった。
「私も……あの頃から古賀くんのことが好きだったのね……」
みんなから慕われる憧れのクラスメイトの彼が、なぜか私にだけつれない態度で接してくるから余計に悲しくなってしまったのだ。
それが分かった今、ようやく全てを許せそうな気がするの……。
「はあ……」
古賀くんはガックリと肩を落とし、盛大なため息をついた。
「ここまで来るのに、10年以上かかった……」
私は身体を起こすと、しみじみと言う彼の額にそっとキスを落とした。
何年、何十年たっても。
ずっと変わらぬ愛で包んでほしい。
……そう、願いを込めて。