キミは甘のじゃく
22.キミは甘のじゃく
「古賀さん、ちょっと変わった?」
二度目のプロポーズの後、キチンと結婚式を挙げたいと言い出したのは、意外なことに古賀くんの方だった。
あらかじめリサーチ済みだったためか、すんなり式場も決まり、この日はかすみにも付き合ってもらって、ウエディングドレスの試着にやってきたのだが……。
「嬉々としてウエディングドレスを選ぶようなタイプの人間じゃなかったでしょ、あの人……」
かすみは女性の私達よりも張り切ってウエディングドレスを吟味する古賀くんの方に興味津々である。
「お姉ちゃん、いいの?あまのじゃくの鬼部分がとれちゃって、単なる残念な人になってるけど……」
「いいのよ。10年以上我慢してきた反動なんですって」
ひねくれもの故に初恋を真逆の方向にこじらせてしまった古賀青年だけれども、本当は可愛くて仕方ない私を思いっきり甘やかしたかったんですって。
本物の入籍を機に堤防は決壊し、今や溢れんばかりの愛で首元までヒタヒタです。
まあ、訳アリ結婚生活の間も結構溢れちゃってたけど。
「おい、次はこれだ」
「はーい」
ようやくお眼鏡に敵うドレスが見つかったのか、試着するように呼ばれる。今日は着せ替え人形となることを覚悟してきた。
「じゃあ、試着してくるね」
「いってらっしゃーい」
……しょうがないから今日は一日たっぷり甘やかされてあげましょう。