キミは甘のじゃく
「古賀くん!!」
「……よお、早かったな。もう仕事は終わったのか?」
「終わるはずないでしょ!?」
昨日のことなど嘘のように平気で声を掛けてくる古賀くんに、少々苛立ちながらも息を整える。
こんなところで呑気に話している暇はない。
「ちょっとこっちきてくれる……?」
私は会社の人に見つからないように細心の注意を払いながら、古賀くんを路地裏に引き入れた。
「何でここで働いてるって知ってるの……?」
「見合いの後にお前の母親に聞いた」
聞いたからって普通ここまで来る!?
実行力がありすぎるというのも困りものである。
「それで……何しに来たの……?」
「返事を聞きに来たにきまってんだろう?」
私はポカーンと口を半開きにしたまま呆けてしまった。
返事って……。お見合いって昨日の今日なんだけど……?