キミは甘のじゃく
(お母さんってば……)
絶対、玉の輿に目がくらんだとしか思えない。
そう、私は人身御供よろしく差し出されたわけである。
(ホントにいい迷惑……)
「俺としてもそろそろ後継ぎとして相応のポストに就きたいんだが……困ったことに会長であるじいさんが反対してるんだ」
「はあ……」
その判断、賢明だと思います、おじい様。
古賀くんにそんな権力持たせたら危なっかしいもの。
「“結婚もせず、ひとりでフラフラしているようなやつに会社を任せられない”んだとさ。とんだ結婚原理主義者だよな」
心底煩理解できないと思っているのか、むすっと不貞腐れた様子でテーブルを叩く。
……話しの雲行きが怪しくなってきた。しかも、私の都合の悪い方にだ。
「とにかく、俺は可及的速やかに結婚相手を探す必要があるんだ。相手は誰だって構わない」
さも名案だとでも自信たっぷりなご様子だが、私に言わせれば名案というよりは迷案だ。
……頭が痛くなってくる。