キミは甘のじゃく
「つまり、古賀くんは……。結婚しておじいさんに後継者として認めてもらいたいの?」
コンビニでおにぎり買うぐらいの気軽さで奥さん選んでどうするのよ?
ターゲットにされたのは私だということも含めてバカげている。
古賀くんは私の戸惑いなど意に介さず、平然と言い放った。
「生半可な相手を連れてきてもじいさんは納得しないだろうからな。あの偏屈なじいさんも、お前ならもろ手を上げて喜ぶさ」
「何で私?」
「お前の親父さんは元古賀電機の社員だろう?しかも、じいさん肝いりの愛弟子のひとり。知らなかったのか?」
「……初めて聞いた」
パンツ一丁で新聞を読むのが朝の習慣になってる機械いじりしか趣味のない変わり者な父だとは思っていたが、まさか古賀電機の会長さんの弟子だとは……。
私はふうっと大きなため息をついた。
……古賀くんの話は私が想像していたよりもずっとひどい。
かつての愛弟子の娘という肩書がどれほどのものかはわからないが、あのお見合いの真意が見えてくると、段々気分が悪くなってきた。