キミは甘のじゃく
「むしろお前に聞くが、俺のどこに不満がある」
「どこにって……」
母さんから伝え聞いた古賀くんの肩書と言えば……。
有名大学卒業。
スポーツ万能。
“古賀電機の御曹司”
確かに傍から見たら文句のつけどころがない……と妙に納得してしまう。
「な?」
同意を求めるように微笑む古賀くんに引き攣った笑みを返す。
(肩書きはともかく中身が嫌……って言ったら怒るわよね……)
その強引な態度も、人を小ばかにした言い方も苦手。
理不尽な理由で結婚相手に選ばれて、それを強要されるなんて屈辱の極みだ。
……しかもそれを本人は分かっていない。
このバカ御曹司にどうやって思い知らせるべきか。
そのまま黙りこくっていると、古賀くんが驚くべきことを口にした。