キミは甘のじゃく

「ひとりでどうにかできると思ってるの?」

希代のカリスマ経営者にとって代わろうなんて、本気でできると思っているのなら本物のバカかアホに決まっている。

「俺がやるって決めたんだから、四の五の言うな」

その自信は一体どこからやってくるというのか。

「それに……ひとりじゃない」

古賀くんの瞳は真っ直ぐ私に向けられた。

「お前がいるだろ」

(う……わ……)

赤面したことを隠すように思わず顔を伏せた。

今のはちょっとグッときた……かも……。

しれっと全力で投げられたストレートが胸にぽっかり空いていた隙間に突き刺さる。

(やだ……。相手は古賀くんなのに……)

何でこんなに頬が熱くなるの?

「それで、どうなんだ?結婚するのか、しないのか。そろそろはっきりしろ」

イライラしたようにトントンと指でテーブルを叩かれると、余計に気が動転してくる。

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