キミは甘のじゃく
「や、でも……そんなこと言われても……」
頭がグツグツと沸騰して、冷静に物が考えられそうにない。
沈黙が続くと古賀くんは席を立った。
「仕方ない……。じゃあ、妹の方に……」
「それはダメっ!!」
ダメダメダメ!!かすみの結婚をぶち壊すなんて絶対ダメ!!
「あ?聞こえねーよ」
耳穴をホジホジしながらコーヒーショップを出ようとする古賀くんに縋りつくが、ずりずりと力任せに引きずられていく。
何とかしてこの人を止めなきゃ!!
その一心で思いついた言葉を羅列して捲し立てる。
「かすみより私の方が家事得意だし!!お年寄り受けは抜群だし!!何でも言うこと聞くし!!」
……あ、と気づいた時にもう遅かった。
(やだ、何言ってんだろう……!!)
これでは結婚を了承したも同然ではないか。慌てて口を塞いだがもう遅い。
先ほどの下僕宣言は古賀くんにもバッチリ聞こえていたはずで……。