キミは甘のじゃく
(うう、困った……)
普段は動作も口調もおっとりしているお母さんの強固な態度が事態の深刻さを表している。
「私じゃかすみの代わりにはならないって……」
かすみはご近所でも評判の器量良しで、頭の回転も早く誰とでもすぐ打ち解けられるタイプなのに対して、姉の私は引っ込み思案。優柔不断で押しの弱い性格である。
同じ母親から生まれたとは思えない性格の違いに知り合いはおろか親戚中が首を傾げる。
お世辞にも見合い向きとは言えない。
「何言ってるのよ!!さくらもかすみも私の自慢の娘よ!!」
「お母さん……必死すぎだから……」
……大袈裟に褒められてもそれはそれで辛い。
それとも、人間いざという時にはなんにでも縋りたくなるということだろうか。
かすみと比べるといささか見た目は地味だが、責任感が強いのが私の唯一の長所である。
「……日曜日は何時からなの?」
なにより、一刻も早くこのしょうもない話を終わらせたかったというのも本音だ。
観念してそう答えると、お母さんの顔がパアッと輝いた。