キミは甘のじゃく
片づけがまだ終わらないことを察したのか、古賀くんが深いため息をつく。
「出掛けてくる」
「え!?どこ行くの?」
「どうせ、まだ終わんねーんだろ?コンビニで昼メシでも買ってくる」
「すみません……」
本当は役所に行きがてら外で食べる予定だったのに、初日から古賀くんをイライラさせてしまった。
古賀くんがコンビニに出掛けた直後、手直にあったダンボールの底から目覚まし時計を発見するとますます自己嫌悪に陥った。
(これから……うまくやっていけるのかしら……)
正直、結婚するという実感が湧いてこない。
明日から、この家で暮らすなんて嘘みたいだ。
これから毎日古賀くんと顔を突き合わせて生活しなきゃいけないなんて。
それにはもちろん夜の生活だって含まれる。
食事ぐらいは一緒に行ったことはあったが、あくまでもそれは清い交際の範疇で……。