キミは甘のじゃく

(うう……困る)

女子高、女子大と女性ばかりの環境に身を置いていたせいか、男性経験は豊富とは言えない。

そりゃあ、いくら古賀くんでも女性に乱暴なことはしないと思うけど。

(っていうか、古賀くん相手にコトに及ぶなんて出来るのか!?)

あああああっ!!と叫び出したい気持ちを抑えるようにスーハー深呼吸をする。

気分が落ち着いてきたところで、思いっきり開き直る。

(そうよ!!こんなこと心配しても無駄なんだから!!)

……彼が“その気”にならなければ何の問題もない。

中学時代、散々ブスだのグズだの罵ってきた相手を前に発情するはずはない。

(そうよね……。相手をしてくれる女性なら一杯いるだろうし……)

古賀くんが後継者として、ひとり立ちするまでの辛抱だ。

おじいさんに認めてもらえれば私達が結婚している意味はなくなるのだから、即離婚を言い渡されるだろう。

うんうんと自分を納得させると出掛けていた古賀くんが戻ってきた。

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