キミは甘のじゃく

(お構いなしなんだから……もう……)

憤慨しながら携帯をバッグにしまい待合いスペースに戻るために踵を返すと、古賀くんが猛烈な勢いでこちらに走ってくるのが見えた。

「もう終わったの?」

手続きが済んだのかと尋ねても、古賀くんから返事が返ってこない。

その代り……。

「今すぐ帰るぞ!!」

「え!?ちょっと!!古賀くん!?」

古賀くんは私の手を取ると、いきなり走り出したのだ!!

「ちょっ!!何で走るの!?」

「いいから走れ!!」

古賀くんは人混みを器用にすり抜け、路上を猛スピードで駆け抜けていく。

訳も分からず走れと言われ、私はひーひーと悲鳴を上げながら古賀くんの背中を追いかけた。

行きは15分かかった道のりを、帰りは半分足らずでとんぼ帰り。

エレベーターの到着を待たずして階段を駆け上がりようやく玄関に到着すると、私は乱れに乱れた呼吸を整えるべくぜえぜえと肩で息をした。

古賀くんが息ひとつ乱していないのとは対照的である。運動習慣の無さが如実に表れている。

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