キミは甘のじゃく

「い、いたの!?」

突然のご本人の登場に恐れおののきたじろいでしまう。

「いちゃ悪いのかよ」

古賀くんはムッとなって言い返してきた。

自分の家にいて悪いことはないけど……いきなりでびっくりしたんだもん……。

「シュークリームは食べたのか?」

「あ、うん……。かすみも喜んでたよ」

「そうか……ならいい」

古賀くんはよしよしと満足げに頷くと、ポンポンとまるで子供をあやすように私の頭を撫でた。

……本当に私のご機嫌を取ろうとしているかのようだ。

「き、着替えてくる!!」

私はそう言って古賀くんから隠れるように寝室に飛び込んだ。

はあはあと、上下する胸を押さえ気分を落ち着ける。

(あ、あり得ないんだから……!!)

ちょっと優しくされたぐらいでトキメクなんて。

こんなことで本当にこの先上手くやっていけるか……自信がなくなってきた。

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