キミは甘のじゃく
10.一途な彼の事情
「あの……古賀くん?」
「あ?何だよ」
(狭いんですけど……)
食後の寛ぎタイムにソファでのんびり雑誌を読んでいると、帰宅した古賀くんがどこからともなくやって来て私の真横に座ったのだ。
その距離5mm。
ページをめくれば手が当たりそうなほどである。
(仕方ない……)
言ってもどうせ聞いてくれそうもないので、重い腰を上げ少し隙間を開けて再びソファに座り直す。
しかし、座り直したそばから古賀くんがまたそろそろと距離を詰めていく。
先ほどと同じように距離を取るとまた近寄ってくる。
最初はソファの真ん中に座っていたのに、あっという間に端の端に追いやられてしまう。
さすがの私もこれには腹が立った。
「もうちょっとそっちに行ってくれるかな?」
「しょうがねーな」
古賀くんはニヤニヤしながら私の身体を持ち上げると、己の脚の間に着地させた。