キミは甘のじゃく
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「……まあまあだった」
帰宅直後おざなりな感想とともに弁当箱を返すと、古賀くんはお風呂に入りに行った。
まあまあって……。
(もうちょっと他に感想はないわけ……?)
美味しかったとか、また作ってくれとか。
お褒めの言葉とか、ねぎらいの言葉を古賀くんに期待しても仕方ないのだろう。
ため息をつきながらお弁当箱の蓋を開けると、意外な光景が広がっていた。
(全部綺麗に食べてる……)
お弁当箱の中には米粒ひとつ残されておらず、正真正銘の空っぽである。
蓋の裏についた米粒を箸で摘まんでいる様子を思い浮かべると、思わず笑みが零れる。
(素直じゃないんだから……)
それでも、空っぽのお弁当箱を見て悪い気はしなかった。
なるほど!!これが例のあまのじゃくってやつなのか!!
かすみの言っていたことに急に合点がいって、ポンと手のひらを打つ。
ということは、まずまず気に入ったってことかしら?
お弁当の成功に味を占めた私は、引き続き内助の功作戦の実行に励むのだった。