キミは甘のじゃく
「……いいから聞けよ!!」
「聞きたくない」
けんもほろろに言い返すと古賀くんの様子が次第に変わっていく。
「怒ってる……のか……?」
……古賀くんはオロオロと狼狽えだして、私の周りを行ったり来たりしだした。
どうして私を怒らせることで古賀くんが困るのか。
理由どうあれ、いつも一方的に困らされている身としては胸がすくような思いである。
「どうすれば機嫌を直すんだよ?」
今なら何でも言うことを聞いてくれそうな気がして、隠していた悪戯心に火がつく。
「……じゃあ、これ」
仁美ちゃんから転送してもらったプードルの写真を見せた。
「このワンちゃんと同じ格好して写真を撮らせてくれる?」
“マジかよ”という、絶望の声を聞いて、私はこっそりほくそ笑んだ。
仮初めの妻でもオイタをした夫にお仕置きする権利はあるよね?