キミは甘のじゃく
(待たせちゃったかな……?)
大浴場が広くて綺麗だったせいかすっかり長居してしまって約束の1時間を10分ほど過ぎてしまい、ビクビクしながら古賀くんの姿を探す。
休憩用の椅子の辺りにも見当たらなかったので、ロビーをぐるりと一周するとようやく彼を発見することが出来た。
「こ……」
声を掛けようとしてはたと気がつく。
(え……と……どちら様?)
古賀くんの隣にはモデルと間違えそうなほどスタイルの良い金髪美女が2人も並んでいたのだ。
伸ばしかけた手をあっさりひっこめ、壁際にそっと隠れてあちらの様子を窺う。
(なによ……デレデレしちゃって……)
私が背後に隠れているとは露知らず、古賀くんと金髪美女達は楽しそうに談笑しているではないか。
そうだ……あの人モテるんだった。
外国人も例外ではないということ?
せっかくの旅行だというのに、水を差されたような気分になってしまう。
(あれ……?)
私、古賀くんと旅行にくるのそんなに楽しみにしてたっけ……?