キミは甘のじゃく

「アホ、立派な風呂がついてんのに使わないともったいないだろう?」

お坊ちゃまのくせにもったいないって感覚があるのか!?

すぐ通販で変な物を買い漁るくせに!!

「じゃあ、古賀くんは大浴場に行って?私はそこのお風呂を一人で使うから」

そう言うと、古賀くんはさっと奥の手を使った。

「あー昨日は疲れたなあ。誰かさんのために一生懸命看病してやったからなー。肩も腕もパンパンだし?湯の中でマッサージしてもらったらすぐに治ると思うんだけどなあ……」

こちらをチラっと見ながらわざとらしく大袈裟に肩をグルグル回しだす古賀くん。

過剰な演技だったが、私はぐぬぬと黙らざるを得ない。

昨夜のことを持ち出せたら何も言えなくなるのを見越しての作戦である。

そして私はこの状況で形勢逆転の一手をひねり出すことが出来ず、屈辱の敗北を喫したのだった。

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