ぶらばん!!
aggiusta mente
「…失礼します」
そこには、顧問の先生らしき人が座っていて、机に多数の楽器が用意されていた。
「…希望の楽器とかはある?」
とっさに答えがでる。
「…クラリネットです。」
「…ふうん、珍しいな。みんなトランペットやサックスだったのに」
たぶん、あの演奏のとき、ソロを吹いていたからだろう。
二つとも、目立つ花形の楽器だ。
「…じゃ、吹いてみて、とりあえず、息いれるだけでも…」
わたしはその言葉にちょっとむっとして、最低音から最高音まで半音階で速く吹いた。
(やっぱりちょっと訛ってる。けど、)
「…君…」
先生を驚かすことくらいはできる。
血のにじむような努力をし、コンクールにもでてきたからね。
「…経験者ですけど…このことは、言わないでください」