挨拶~ぼくらのことば~
きみといた街
僕は今、学生時代過ごした下関に向かっていた。
今春、市内の大学を卒業し、就職のため他県へ旅立った。
一個下の恋人を残して。
毎週土曜日になると始発の新幹線に乗り、新下関駅に彼女が迎えに来てくれた。
お互い一人暮らしの大学生。
付き合い始めてからはほぼ一緒に暮らしていたけれど、僕らには遠距離恋愛の大変さなんて他人事だと思っていた。
僕は社会人一年生として仕事を覚えるのに、彼女は就職活動に、それぞれハードな日々を送っていた。
それでも毎日のようにメールや電話を交わし、週末には会っていた。