國比呂少年怪異譚・第二夜
あ、言い忘れたけど、そのミイラは 『頭が両側に2つくっついてて、腕が左右2本ずつ、足は通常通り2本』という異様な形態だったのね。

俺もネットや2ちゃんねるとかで色んな奇形の写真見た事あったんで、そりゃビックリしたけど、『あぁ、奇形か作りもんだろうな』と思った訳ね。

んで、例の中国人2人は一応病院に車で送る事になって、警察への連絡はどうしようかって話をしてた時に、元住職が息子さんが運転する車で来た。

開口一番、

「開けたんか!開けたんかこの馬鹿たれが!終い、開けたら終いじゃ…」

俺らはあまりの剣幕にポカーンとしてたんだけど、住職が今度は息子に怒鳴り始めた。

岩手訛りがキツかったんで標準語で書くけど・

「お前、リョウメンスクナ様をあの時、京都の寺に絶対送る言うたじゃろが!送らんかったんかこのボンクラが!馬鹿たれが!」

ホント80過ぎの爺さんとは思えないくらいの怒声だった。

「開けたんは誰?病院?その人らはもうダメ思うけど、一応アンタらは祓ってあげるから」

俺らも正直怖かったんで、されるがままに何やらお経みたいの聴かされて、経典みたいなのでかなり強く背中とか肩とか叩かれた。

結構長くて30分くらいやってたかな。

住職は木箱を車に積み込み、別れ際にこう言った。

「可哀想だけど、あんたら長生きでけんよ」

その後、中国人2人の内1人が医者も首を傾げる心筋梗塞で病室で死亡、もう1人は精神病院に移送、解体作業員も3名謎の高熱で寝込み、俺も釘を足で踏み抜いて5針縫った。

全く詳しい事は分からないが、俺が思うにあれは、やはり人間の奇形で、差別にあって恨みを残して死んでいった人なんじゃないかと思う。

だって物凄い形相してたからね…その寺の地域も昔部落の集落があった事も、何か関係あるのかな。

無いかもしれないけど。

長生きはしたいです。

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