國比呂少年怪異譚・第二夜
「ごめんなさい。住職さんに念押されちゃって。本当はヤバイんですけど」

「いえ、こっちこそ無理言いまして。アレって結局何なんですか?」

「アレは大正時代に、見世物小屋に出されてた奇形の人間です」

「じゃあ、当時あの結合した状態で生きていたんですか?シャム双生児みたいな?」

「そうです。生まれて数年は、岩手のとある部落で暮らしてたみたいだけど、生活に窮した親が人買いに売っちゃったらしくて。それで見世物小屋に流れたみたいですね」

「そうですか…でも何故あんなミイラの様な状態に?」

「正確に言えば、即身仏ですけどね」

「即身仏って事は、自ら進んでああなったんですか?」

「アレはね、無理やりああされたんですよ。当時、今で言うとんでもないカルト教団がいまして。教団の名前は勘弁して下さい。今もひっそり活動してると思うんで…」

「聞けば、誰でもああ、あの教団って分かりますか?」

「知らないですよ、極秘中の極秘、本当の邪教だから」

「そうですか…」

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