國比呂少年怪異譚・第二夜
「…それが、関東大震災が起こる直前なんですよね?」

「そうですね」

「…偶然ですよね?」

「…偶然でしょうね」

「その時、リョウメンスクナと天獄はどこに…?」

「震源に近い相模湾沿岸の近辺だったそうです」

「…その後、どういう経由でリョウメンスクナは岩手のあのお寺に?」

「そればっかりは住職さんは話してくれなかったんです」

「あの時、住職さんは、何故京都のお寺に輸送しなかったんだ!みたいな事を言ってましたが、あれは?」

「…もう30年前くらいだけど、住職さんの息子さんが、後継ぐ予定だったんです。その時に手違いがあって…その後、お寺もずっと放置されてたらしいです」

「そうですか…今リョウメンスクナはどこに?」

「それは知りません。というか、ここ数日住職さんと連絡がつかないんです…アレを持って帰って以来、妙な車に後つけられたりしたらしくて」

「そうですか…でも全部は話さないと言われたんですけど、何故ここまで詳しく教えてくれたんですか?」

「住職さんに言われたんでしょう?可哀想だけど君達長生きできないよ、って」

「……」

「じゃあこの辺で。もう話訊かないで下さいね」

「…ありがとうございました」

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